自然気胸の手術療法
- 咳・痰の主な病気
自然気胸の胸腔鏡下手術:患者さんの身体的負担が軽く、傷口が小さい
「胸腔鏡下手術」とは、胸腔鏡で患部を見ながら行う手術で、自然気胸の手術では主流となっています。胸部に2〜3カ所、小さな孔(アナ)を開けて、そこから胸腔鏡と器具を入れて手術を行います。胸腔鏡下手術の方法はいくつかありますが、最も一般的なのは、「ステイプラー」という自動縫合器を用い、ブラやブレブを切除する方法です(これを「切離法合法」と呼んでいます)。切除する時には、ブラやブレブを残さないために、異常な肺の部分も含めて、少し大きめに切除します。自動縫合器を用いると、切ると同時に、切り口が閉じられます。手術にかかる時間は、全身麻酔をかける時間(1時間程度)も含めて、2時間程度です。入院期間は数日程度を見ておけば十分でしょう。
胸壁を切開する部分が小さくてすむため、開胸手術と比較して、手術後の傷あとも小さく、患者さんの身体的負担が比較的軽度であるのも特徴です。しかしながら、胸腔鏡では、肺の表面で見えにくい部分があるので、ブラやブレブが処置されないまま残ることもあります。そのため、開胸手術と比較すると再発率が高く、胸腔鏡下手術を受けた患者さんの約10%が再発するとされています。
自然気胸の開胸手術:ブラが多く見られる場合、再発が多発する場合
「開胸手術」とは、胸部を切開して行う手術です。一般的には、わきの下の部分を切開しますが、胸の横の辺りを切開する方法もあります。開胸手術を行った場合には、肺全体を良く調べることができます。そのため、胸膜腔の孔(アナ)が開いた部位を縫合するのはもちろん、ほかにブラやブレブがある場合には、それを切除して縫合します。開胸手術にかかる時間は、全身麻酔にかかる時間(1時間程度)を含め、全体で3時間程度です。入院期間は1週間〜10日間ほどです。
肺内のブラやブレブが未処置のまま残ることは少なく、再発率はわずか数%です。胸腔鏡下手術後の再発率と比較して、低いのが特徴です。このことから、再発を繰り返す場合には、開胸手術が勧められます。また、ブラやブレブがたくさんある場合には、胸腔鏡下手術では処置しきれないため、開胸手術の方が向いています。
開胸手術の短所(デメリット)は、患者さんの身体的負担が大きいことです。また、傷あとが大きく残ってしまうことや、手術後の痛みが胸腔鏡下手術よりも強い点もデメリットと言えるでしょう。
癒着療法:再発予防の治療
自然胸腔の再発を予防するために、「癒着(ユチャク)療法」という治療が行われることがあります。胸膜腔(キョウマククウ)に、癒着を起こすような薬剤を入れて、人工的に炎症を起こします。炎症が治癒(チユ)する過程で、壁側胸膜(ヘキソクキョウマク)と、臓側胸膜(ゾウソクキョウマク)が癒着します。また、壁側胸膜の一部を剥がしたり、こすったりして炎症を引き起こす場合もあります。
癒着した部分は、ブラやブレブの壁が強化されるため、破壊しにくくなります。胸膜(キョウマク)を癒着されても、癒着部分が一部の場合は、呼吸機能には、影響は軽微です。ただし、たとえば、この部分に癌(ガン)などができた場合、すぐ胸郭(キョウカク)に浸潤していきやすいので、癒着療法を行なうのが好ましいのか否かは議論の分かれるところです。一般的には、再発を繰り返す場合や、高齢者で手術療法ができない場合に行われています。

自然気胸治療後の生活上の留意点:治療後1〜2か月間は激しい運動は避ける
自然気胸(シゼンキキョウ)の治療後1〜2ヶ月間は、肺の治療した部位に負担をかけないために、激しい運動や管楽器(トランペットなど)の演奏は控えるようにしましょう。そのほかの日常生活に関しては、特に制限しなければならないことはありません。治療後1〜2ヶ月が経過したら、通常通りの生活を始めても問題ないでしょう。
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