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ノロウイルス:冬季に幼稚園や小学校で嘔吐下痢症の流行を引き起こし、吐物から伝播する

- 先進国(衛生的な環境)での感染症

 

ノロウイルスについて

 日本人は清潔になり、多くの危険な伝染病から逃れられるようになりました。しかしながら、感染症をまったくなくすことは不可能です。清潔環境のなかをかいくぐって生きている病原体もいます。また、人間が新しい生活環境をつくれば、いままでになかった新しい伝播経路が生まれる可能性もあります。

 近年では、老人ホームで「ノロウイルス」による嘔吐下痢症(オウトゲリショウ)が流行することが、テレビや新聞で話題になっています。このノロウイルスはむかし、「小型球形ウイルス」とか「ノーウォーク様ウイルス」などとよばれていたのですが、正式名称が近年、「ノロウイルス」となったのです。新しい名前なので、いままでになかった新しいウイルスが近年になって出現した、と誤解する人がいるのですが、そうではないです。

 ノロウイルスは、冬季に幼稚園・小学校で嘔吐下痢症の流行を起こします。ウイルスは吐物にも下痢便(ゲリベン)にも排出されます。このノロウイルスは水中で安定であるだけでなく、乾燥にもきわめて強いと考えられています。ノロウイルスに起因する嘔吐(オウト)は、胃の内容物がぶちまけられるような吐き方で、学校で児童が嘔吐をすれば、校舎の床をよごすばかりでなく、乾くとウイルスをふくむホコリが舞いあがり、他の学童の咽頭(イントウ)に付着しますから注意が必要です。

 ノロウイルスは、咽頭(イントウ)では増殖しないのですが、飲水.食べるときに胃に流され、胃酸にも壊されないで、小腸に達し、そこで増殖する、と考えられています。下痢便中のノロウイルスは水洗トイレから下水道へと行ってしまうから問題はありませんが、嘔吐からのウイルスで感染が広がります。ウイルスの側から見ると、水洗トイレが完備された社会では、下痢だけを起こすウイルスは生きにくいのですが、ヒトに強い嘔吐をさせるようなウイルス株が生き残ってきた、とも考えられます。

咽頭(イントウ)

 米国では、ノロウイルス嘔吐下痢症が周遊客船や保養地ホテルで流行することがしばしば報道されています。豪華客船や高級ホテルなどの清潔なところでも、長期滞在客がたくさんいる場所にこのウイルスがいったん持ちこまれると、「吐物←ホコリ←口」の経路での嘔吐下痢症の流行が長期間にわたってつづくのです。

 

≫次の記事「ノロウイルスの伝播経路:環境中で壊れにくく安定した性質のため、爆発的な食中毒を引き起こす」へ


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